今も地方創生がある種のブームになっています。転職市場でも地方へのUIターンの促進の施策が次々に登場し、官民の様々な機関が参入しています。
当社にとっては競業となるライバルも増えているということですが、広い視野で、転職希望者と徳島の企業様のご要望にお応えするという理念に、最も沿った運営をしていきたいと考えています。
さて、今回は残業にまつわる解説をしたいと思います。残業は転職の際にも入社後においても重要な情報です。そこで、残業時間の相場、残業代を含めた年収の予測方法、支払いの有無の確認、残業時間の確認方法についてお話したいと思います。
第一、残業時間の相場
徳島は東京や大阪と比べると残業が少ないと感じる方が多いようで、「その程度の残業でいいんですか?」と驚かれる登録者もたくさんいます。
徳島の企業では平均的に19時くらい、遅いと言われる企業でも21時には終業しているように思います。残業時間は月30~50時間が相場になると思います。これが多いか少ないかは人によると思います。一日の残業時間に引き直すと以下のようになりますので、ご自身で考えてみてください。
ケーススタディ1
月の出勤日が22日、終業時刻の定時が17:30の企業のケース。
1カ月の 残業時間 |
1日の 残業時間 |
終業時刻 |
---|---|---|
20時間 | 0.9時間 | 18:24 |
40時間 | 1.8時間 | 19:20 |
60時間 | 2.7時間 | 20:12 |
80時間 | 3.6時間 | 21:06 |
いかがお感じになったでしょうか。
法的な視点で見てみると、大企業の場合は60時間を超える場合は残業代の割増率を1.5倍にすることが法律で義務付けられています。つまり、60時間以上の残業を禁止はしないが、好ましくはないという立場をとっていると解釈できます。過労死認定訴訟では月80時間以上の残業というのが基準になっています。80時間は人間の健康だけでなく生命にも危険を及ぼすことがあると考えていると言えます。
従って60時間~80時間の残業だと多い、80時間以上となると非常に多いと言えると思います。ただ、産業医制度の整備や閑散期の代休取得などにより負担軽減を図っている企業も多いので、残業時間だけで企業の良し悪しを判断しないようにしてくださいね。
第二、残業代込みの年収予測
求人票を見て年収が大きくダウンするなと感じた場合でも、残業代を含めて計算してみると違ってくることも良くあります。そこで残業代を含めた年収の予測方法をご説明します。
前提知識として、ご存知の方も多いと思いますが、残業代については本来の給与より高い給料(割増賃金)を企業が支払わなければならないことが法律で定められています。通常の残業代は1.25倍の割増賃金です。(労働基準法第37条参照)
ケーススタディ2
残業時間が月平均30時間の会社では、残業代がいくらで、年収はどの程度増加するでしょうか。
- 基本給(月):250,000円
- 各種手当(月):15,000円
- 休日:土日祝
以下、順を追って計算しますが、細かい部分もあるので、結論だけ見たい人は、(7)(8)をご覧ください。
- 月間の出勤日数
一カ月30日とすると、土曜日と日曜日が4日ずつあると考え、22日が出勤日となります。※出勤日数は、年間ベースで計算し月平均を求める企業もあります。 - 月間の勤務時間
1日8時間で20日働くとして、160時間勤務となります。 - 時給
基本給25万円を160時間で割ると時給1,562円です。※手当などは含みませんのでご注意下さい。 - 割増賃金
時給1,562円に割増の1.25を乗じると1,952円となり、これが残業代の基礎となる割増しの時給となります。 - 月間の残業代
時給1,952円で30時間残業しますので、月の残業代は58,560円となります。 - 年間の残業代
月平均58,560円ですので、年間の残業代見込みは702,720円となります。 - 年収
本ケースでは、年収3,180,000円ですが、残業代(月平均30時間)を含めると3,882,720円となり、400万円に近くなります。このように、残業は年収にも大きく影響してきます。 - 残業代予測の公式
残業代の計算を公式にすると以下となります。
残業代(月間ベース)=基本給÷1カ月の勤務時間(※一般的には160時間)×実際の残業時間×1.25の割増率
※月の法定勤務時間は、160時間~172時間を基準にしている企業が多いと思いますがあくまでも目安ですので、ずれが大きくなりそうな場合は就業規則か求人票を確認しご自身で計算してください。
第三、残業以外の割増賃金
その他ご参考に、残業以外でも割増賃金が適用されるケースをご紹介しておきます。
- 休日出勤
1.35倍の割増賃金が適用されます。 - 深夜勤務
1.25倍の割増賃金が適用されます。
(午後10時から翌午前5時までの間の労働が該当します。) - 重複して適用される場合
例えば、「深夜」の「残業」とダブルパンチの場合についても定められています。
「残業」を「休日」に行った場合:1.35倍
「残業」を「深夜」に行った場合:1.5倍
「休日」に「深夜」勤務を行った場合:1.6倍
長くなりましたので、残業代の支払いの有無、残業時間の確認方法については次のコラムに掲載しますね。