2019年10月5日(土)、ムツビエージェントのメンバー全員で「にし阿波の花火」を観覧してきました。
中四国では初めての開催となる、花火師競技大会。通常の花火大会とは異なり、花火師たちが如何に美しい花火を打ち上げられるか、互いの技(ワザ)を競い合う花火大会でした。
徳島県三好市の三野健康防災公園で行われました。10月の三好と言えば、朝晩はすでに肌寒さを感じます。澄みわたった夜空に打ち上げられた花火の色とりどりの美しさは、寒さを忘れ感動するほどの体験でした。
来年以降も、中四国の地域を盛り上げていくために花火競技大会の開催は前向きに検討されているそうです!
今回は、にし阿波の花火での花火師たちの匠の技をご紹介します。この記事をご覧いただければ、今後、どんな花火大会に行っても、より深く花火を楽しむことができるようになりますよ。
それでは、にし阿波の花火を写真でご紹介します。
この花火大会は「競技花火」といって、全国から花火師が集まり、技を競い合うコンテストです。
日本三大競技花火と言えば
- 大曲の花火(秋田県)
- 長岡まつり花火大会(新潟)
- 土浦全国花火競技大会(茨城県)
です。(順序は開催日順)
どれも素晴らしい花火で、BSテレビでも放送されますのでとても楽しみにしています。しかし、気付いたでしょうか?西日本には一つもありません!規模の大きな花火は西日本にもたくさんあるのですが、「競技花火」は私が調べた限りでは九州(熊本)に一つあるだけです。
もともと、花火はどちらかというと関東の文化のようで、有名な花火師さんは長野県、山梨県、愛知県、東京都などが多いです。
今回初めて開催された「にし阿波の花火」は中四国エリアでは唯一、そして西日本で最大規模の競技花火大会です!前評判も高く、当日は広島ナンバーや九州ナンバーなど、遠征してきている車もたくさん見ました。
ではどうすごいのか、写真で紹介させてください!
早速ですが、大賞をとった花火です。
茨城県の「野村花火工業」という日本を代表する煙火店の花火です。
きれいですね。
◯玉名(ぎょくめい)について
大賞をとった花火は、「昇曲導付 五重芯 変化菊(のぼりきょくどうつき いつえしん へんかぎく)」という玉名です。
気合の入った花火には「玉名」という名前が付けられています。
この玉名もかっこよくて私は好きです。
玉名の基本を理解できれば、玉名を聞くだけで花火を想像できるようになり、鑑賞がもっと楽しくなるはずです!
◯五重芯とは?
「五重芯(いつえしん)」とは、花火の中が5重の構造になっています。
一番内側の芯星を合わせて6色になり、その製造には非常に高度な技術が求められます。
江戸時代は、3色花火(二重)ですら不可能とされて「八重芯」と名付けられました。
今は技術が向上していますが、それでも「四重芯」が最高レベルの花火です。
「五重芯」を作ることが出来る花火師は日本でも、世界中でもほとんど存在しません。
もはや神業で、とにかくすごい花火なのです!
また、完成度の高さも素晴らしい。
こちらは他の煙火店さんの「四重芯」花火です。これも素晴らしい花火ですが、よく見ると一番内側の芯星の形が大きく崩れてしまっています。
こちらの四重芯も、5層それぞれの色をはっきり確認できる素晴らしい花火です。
決して出来が悪いわけではなく、本当に真ん丸い「盆の良い」花火はそれだけ難しいのです。通常の花火大会では注意してみていると、一つも見つからないこともあります。
芯が増えれば増えるほどその難易度は高まります。
翻って大賞をとった花火を見てもらうと、それぞれがまん丸く、いかに素晴らしいかわかってもらえると思います。
◯昇曲導付について
「昇曲導付(のぼりきょくどうつき)」とは、花火が昇って行くときに飾りがついているということです。
「ヒュ~~・・ドーン」という音で花火は象徴されますが、その「ヒュ~~」の音も曲導の一種で、「昇笛付(のぼりふえつき)」と言われます。
こちらは一般的な昇曲導である錦の「昇龍」です。白色の場合は「昇銀龍」と言われます。
大賞をとった花火の曲導は、正確には「登分砲(のぼりぶんぽう)」といって、左右に多数の火花を散らしながら登っていくタイプでした。
うまく撮影できていなかったので、写真で紹介できず、すみません。
◯変化菊とは?
「菊」とは「菊星」の事で、閃光が尾を引く星のことです。
一番外側の親星がオレンジの尾を引いています。
内側は尾を引かない「牡丹星」です。
玉名は、一番外側の「親星」を基準につけられます。
「変化」とは最後に花火の色が変わることです。
オレンジ色の親星が、紅へ、最後は緑に変化する「先緑変化」です。
外側から2つ目のブルーの牡丹星も緑へ変化しています。
2層が「変化」する、最後までとても手の込んだ花火でした。
◯スターマイン
「スターマイン」は連続花火のことで、花火大会の醍醐味ですね。
その中でも好きな花火を紹介させてください。
「柳」と言われる花火で、色は「和火(わび)」です。
伝統的な日本の花火の色で、大きな線香花火のようなしっとりした趣がとても好きです。
こちらは和火からの先緑変化、最後はキラキラ系の点滅という凝りに凝った和火です。
「冠菊(かむろぎく)」と言われる花火で、オレンジ色の場合は「錦冠(にしきかむろ)」とも呼ばれます。
たくさんの菊星が連続してさく裂し、大きく垂れさがってきています。
空一面を覆いつくすような迫力のある花火で、フィナーレによく使われます。
オーソドックスですが、だれもが好きで盛り上がる花火で私も大好きです。
錦冠の中を昇銀龍が昇っています。
同じく菊の花火です。形状はシンプルですが、色が白いものは「白菊」と言われます。
これは青みがかっているので、徳島の「阿波藍」やオリンピックに向けて「ジャパンブルー」を表現しているのだと思います。
仕掛け花火もきれいでした。パステル系の最近の流行色ですが、火薬の調合が非常に難しくここまで淡くて輝度の高いパステルは初めて見ました!
個人的に一番好きだった花火です。菊星の中に、牡丹星が不規則にちりばめられて、まるで宝石がこぼれているようです。華やかさと儚さが両立したような幻想的な花火でした。
あえて星を不規則に散りばめるという発想が素晴らしく、感動しました。
◯花火大会開催者の想い
大会後に知りましたが、実は今回が初めてではなく、昨年も競技花火を開催していたそうです。ただし、試験開催だったので、紹介客のみの小規模な開催だったようです。そもそもは、徳島のJCが中心になって、徳島を盛り上げるために企画し開催したと聞きました。
今年は満を持して、第一回の開催となりましたが、日本を代表する花火師の出演交渉や、打ち上げ場所と駐車場の確保などさぞかし大変だったと思います。でもそのおかげで一生の思い出に残る花火を観覧出来ました。
徳島にも地元を愛して盛り上げようと懸命に活動している人がたくさんいると勇気づけられました。みなさんも、ぜひそんな徳島の一員になっていただけると嬉しいです。