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AI時代のキャリア形成 【前編】徳島県内企業の2026年度新卒初任給の平均額及び全国企業との比較

2025.11.27

2025年5月1日、労務行政研究所が東証プライム企業に実施した「2025年度 新入社員の初任給調査」の速報集計を発表しました。

2025年4月入社者の初任給を調査したもので、1586社中回答があった197社分を集計。初任給を「全学歴引き上げ」た企業は 83.2%となり、前年度(24 年度速報 集計時)より3.6ポイント低下したものの2年連続で8 割を超えました。

就職活動を控える学生にとって、企業選びの基準は年々変化しています。その中でも近年とくに注目されているのが 「初任給」 です。

物価上昇が続き、ニュースでも「賃上げ」が取り上げられる機会が増えたことで、これまで以上に“給与の違い”を意識する学生が増えていると言われており、マイナビの調査でも「給料が良い企業を選びたい」と答える学生は4年連続で増加しています。

さらに、AIの急速な進化により企業の働き方そのものが大きく変わりつつあります。
その影響は「どんな会社を選ぶか」だけではなく、「どんなスキルを持つ人材が求められるか」にも及び始めています。

こうした背景の中で、
「地方の初任給はいまどれくらい?」
「全国と比べて、どんな位置にある?」
「これからどんな働き方・スキルが評価される?」
といった疑問を持つ学生の方も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、前編、後編に分け、AIの急速な進化が採用の現場にどのような影響をもたらすのかを、2部構成でお届けします。まず前編で全国と徳島の初任給水準を比較し、後編ではAI時代において必要とされる働き方の変化についてもご紹介していきます。

2025年度 全国の初任給水準

労務行政研究所の調査による、東証プライム上場企業197社の学歴別の2025年度の初任給水準をご紹介します。

東証プライム企業は全国的にも知名度が高く、就活生が目にする機会の多い企業群です。そのため、地方と状況が異なる場合はあるものの、「全国ではどれくらいの水準が一般的なのか」を知るうえで、とても分かりやすい指標になります。

実際、大手企業の初任給はニュースやSNSでも話題になりやすく、学生の企業選びの感覚にも影響を与えています。
徳島県内の企業を志望している方にとっても、「地元と全国の違いを比較して、自分の希望やキャリアプランを考える材料にする」という意味で、ご参考にしていただければと思います。

2025年度 新入社員の初任給(東証プライム上場197社回答)
・高校卒で20万6523円(24年度 19万3427円
・短大卒で22万1640円(24年度20万5887円
・大学卒で25万5115円(24年度23万9078円
・大学院修士卒で27万3327円(24年度25万9228円

昇給の上昇率はいずれの学歴でも6%を上回り、上昇額の平均は、高卒は約1万5000円、短大は約1万6000円、大卒、大学院修士卒は約1万8000円となりました。

●最多の上昇額分布
初任給の上昇額の分布を見ると、どの学歴でも1万〜1万2000円未満が最多となりました(高卒は1万2000円~1万4千円も同率最多)。

● 初任給の上昇額が1万2000円未満の割合
高卒で27%、短大卒で22%、大卒で21%、大学院修士卒で19%という数字から見ても、学歴が高いほど、初任給の上昇額が大きい割合が高い様子がうかがえます。

●最高上昇額
高卒で13万円、短大卒で11万6000円、大学卒で10万円、大学院卒で10万円と大幅な上昇を行う企業もあるようです。

東証プライム上場企業の初任給平均値の解説をしましたが、平均値だけに囚われると実態がつかめません。現在はかつての「横並び」の初任給ではなくなっていることが大きな特徴です。

東洋経済によると、初任給額1位のサイバーエージェント(広告代理店大手)は、年俸制であるものの大卒総合職の初任給は42万円。2位の日本M&Aセンターは、大卒総合職の初任給は時間調整手当11万7750円も含まれるものの、40万2750円。3位は日本テキサツ・インスツルメンツ(電子部品・機器)が月給390,870円。4位がセプテーニ・ホールディングス(広告)、5位は電通(広告)月給355,925円。月給30万円超の企業は59社となり、広告、電子部品・機器メーカー、生保、IT、医薬、鉄道・商社、海運・空運、石油、不動産、建設、証券、テレビなどの業界大手が並びます。

このように、上位層だけ急激に“せり上がる”形となり、企業ごとの新卒初任給の格差が開くようになりました。そのため、初任給の「平均値」は大きく上がっているにもかかわらず、「中央値」はそこまで伸びていないという“乖離”も発生しています。実際には、一部の高額提示企業が統計を押し上げている実態もあります。

また、賞与を月給に割り振る年俸制を導入する企業、固定残業代を含む月給を提示する企業など、基本給のみを月給として表記する企業など、また初任給はそこまでひきあがっていないものの数年後の昇給が大きい企業など、その月給平均だけ給与全体を把握することは難しい状況です。

徳島の企業の初任給の平均や給与帯の分布図

それでは、徳島の企業の初任給平均を見ていきましょう。上場企業や全国企業との比較も行っています。

対象求人について
・徳島県が本社の企業に限定とし、対象企業数は153社
・求人数は職種ごとにカウントとし、求人件数は292件(徳島県外勤務の求人は除く)
・2026年度の新卒採用のマイナビとリクナビからの調査
・大学卒の初任給に限定

給与について
詳細については、手当を除く基本月給で比較。

それでは、2026年度新卒採用における月給について調査データをお伝えします。

月給の平均

平均
手当含む月給総額基本月給
215,163200,191

2026年度卒の徳島の、手当を含む月給総額と手当を含まない基本月給の平均を出しています。基本月給は、200,191円。手当を含む月給総額の平均は、215,163円となりました。

2025年度卒の平均は、基本月給192,390円、月給総額205,735円でしたので、それぞれ約8000円(4.05%)、9500円程度(4.58%)上昇しています。

ただ、東証プライム上場企業の初任給として、大学卒で25万5115円(25年度)となりますので、(徳島は26年度卒)大手企業との初任給の格差が開いていることが分かります。

基本月給の中央値

徳島県内の基本月給の中央値は「20万600円」となりました。

グラフを見ると「20万円台」は全体の26%を占めています。ついで「16万円~18万円」の22%、「22万円」の13%、「19万」「21万」の11%とつづきます。

帝国データバンクによる全国1,519社のアンケート調査によると、2025年度の初任給は「20万~25万円未満」の企業の割合が62.1%で最も多く、次いで「15万~20万円未満」が24.6%、「25万~30万円未満」(11.4%)は2ケタへ上昇したそうです。

徳島では「20万~25万円未満」の企業の割合は58.6%、「25万円以上」の割合は2.8%となるので、全国と比較するとやはり少し低めとなっているようです。

●2025年度との比較
2025年度のデータを見て比較してみましょう。

◎全体として “初任給の上昇”
2026年になると、高い月給帯(20万円以上)が増加しています。
・20万円台(200,000円代)が21% → 26%へ増加
・23〜26万円台が5% → 10%へと倍増
・16〜18万円台は32% → 22%へ減少

企業側が新卒初任給を引き上げている傾向がはっきりと見えてきます。

 ◎“低い給与レンジ” の割合が縮小
・16〜18万円台:32% → 22%(大きく減少)
特に16〜18万円のゾーン(もっとも多かった層)が減り、より高い層へシフトしていることがわかります。

 ◎給与分布の高額側への広がり
2025年は比較的給与帯が固まっていましたが、2026年は 「20万前半」「23〜26万台」など高額帯が存在感を増しています。

これらは、 賃上げを積極的に行える企業が増えたと考えられ、また、「企業間の給与差も広がっている可能性」も懸念されます。

新卒初任給の平均額についてのまとめ

東証プライム上場企業の初任給の給与引き上げ合戦が続く中、都心部大手企業と地方企業の格差が開き、都心部大手への希望者が増え、Uターン人材が減少している実態もあります。

都心部においては、新卒獲得競争のため新卒初任給と既存社員との給与逆転現象がおきている企業もあります。また、初任給は高いものの賞与を月給に換算する年俸方式に変更している企業、残業代を含んだ形での月給換算をしている企業、求められる能力が引き上げられる企業などもあり、月給額だけを見て憧れることのリスクも感じます。

2025年と2026年の徳島県内企業における新卒の基本月給を比べると、県内で“初任給の底上げ”が進んでいることがわかります。もっとも大きな変化は、月給20万円台以上の割合が増えた点です。特に23万~26万円台の高いレンジは、5%から10%へと倍増しました。一方で、これまで最もボリュームが大きかった16万~18万円台は、32%から22%へと10ポイント減少しています。かつて多かった「16万~18万円台の企業」が、2026年には20万円台へ移行している状況です。19万~21万円台の中間層でも、上限側に引き上げる動きが目立ち、給与分布そのものが上のレンジへと押し上げられています。

都心部と比較すると給与の上昇率はやや低くとも賃上げが進み極端な給与設計をしない、安定的な経営をする徳島の企業も十分な魅力があるといえるのではないでしょうか。

昨年の状況についての詳細については、2024年のコラムがございますのでご覧ください。

【参考コラム】徳島県内企業の2025年度新卒初任給の平均額及び全国企業との比較
https://mutsubi-a.jp/for-hr-professionals/syoninkyu_2025_tokushima/

【参考】
労務行政研究所「2025年度 新入社員の初任給調査」
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000089050.pdf

帝国データバンク「初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)」
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250214-startingsalary2025

マイナビ「2026年度卒大学生就職意識調査」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250423_95696/

40万超も!「初任給が高い100社」ランキング 人材確保のため新卒の初任給引き上げが相次ぐ
https://toyokeizai.net/articles/-/852447

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