2020年1月から始まったコロナ禍を機に、テレワークを取り入れた企業も多いのではないでしょうか。
首都圏では、32.5%が「勤務先によるテレワーク環境の整備も進み、テレワークをしたい人はテレワークを実施している」と回答。
地方では、13.9%が「勤務先によるテレワーク環境の整備も進み、テレワークをしたい人はテレワークを実施している」と回答。67.2%が「勤務先の業種がテレワークになじまないためほとんど実施されていない」と回答しています。
※令和3年度 テレワーク人口実態調査
徳島在住の方も、「テレワークで働いてみたい!」という方も増えていて、テレワークで働ける企業を探す方も増えているように感じます。
また、「転職なき移住」も増え、徳島へUIJターンをする方の中にも、徳島の企業へ転職をするという選択肢を選ばず、テレワークで勤務しながら、徳島で生活をするという方も増えてきているのではないでしょうか。
しかし、「在宅疲れ」という言葉も生まれたように、テレワークがストレスになってしまわないように注意が必要です。全国の314社に対して行ったアンケートでは、6割以上が仕事上でのストレスを抱える従業員が増えたと答えたという報告があります。
テレワークは社員を通勤の負担から解放するなどのメリットもありますが、 テレワークでストレスがたまった原因は何でしょうか。
柔軟な働き方が、疲れの原因に?
テレワークは、仕事における「場所」と「時間」の柔軟さが最大の特徴です。それが仕事とプライべートの境界線を曖昧にしてしまったと思われます。仕事をしながら、家事をする。仕事をしながら育児や介護をする。つまり社員という役割と、親や子といった複数の役割を全く同じタイミングで果たさなければならなくなります。
会社に出勤していればその間は社員としての役割を果たし、自宅に帰れば親としての役割を果たすといった具合に集中できるものです。しかし、テレワークでは、その境界が無くなってしまいます。その結果、働きながら家事をして、プライベートでも働くことになり、結局気が休まらないことになります。
パソコンでも同時に複数のアプリを起動すると、動きが遅くなったり、負担がかかってしまいます。人間も同時並行に複数の役割や業務を行うマルチタスクをしていると、非常に負担がかかり、それが過大なストレスとなることがあります。
テレワークでもストレスが掛かりにくい環境とは?
それでは、どのようなテレワークであれば、デメリットを最小化し、メリットを享受できるでしょうか。それに関する調査があります。
テレワークに関して下記2つの仮説のうち一方が正しく、一方は誤っていることが判明しました。さてどちらが正しいでしょうか?
仮説1
テレワーク環境下での仕事の「場所」を確定させることは、良好なワークライフバランスに繋がり、労働者の精神的健康を向上させる。
仮説2
テレワーク環境下での仕事の「時間」を確定させることは、良好なワークライフバランスに繋がり、社員の精神的健康を向上させる。
正解は、仮説2となり、働く「時間」は確定させて、働く「場所」は自由というのが最もストレスの低い組み合わせだと考えられます。
働く「場所」を自由に選ぶことができる働き方は「モバイルワーク」という言い方もできます。自宅だけではなく、カフェや移動中の乗物でも働くことができます。親の介護が必要な場合は、実家から勤務することもできますし、博物館や旅行先から勤務するワーケーションも可能です。
働く「時間」を自由にしてしまうことは、仕事とプライベートの区別をあいまいにしてしまいます。長時間労働に繋がったり、家事育児、介護と仕事を同時行うことになり、役割葛藤が生まれストレスになります。ある程度時間を確定させることにより、曖昧さを解消する必要があります。
ただし、勤務時間帯は仕事に集中できるような環境を整えておくといったが重要です。また、時間帯を確定させることができない事情もあると思います。大切なポイントは、仕事とプライベートの切り替えを可能にすることです。仕事とプライベートの切り替えられるための工夫を社員自身もそうですし、会社としての取り組みとしても目指してみるとよいでしょう。
フルタイム、フルリモートの企業では、会社が休みである土日も就業時間後もLineなどのチャットで継続的に仕事の連絡があるとうケースを良く聞きます。既読がつくことで、送信側も返事を期待してしまいますし、時には返事の強要が行われることもあります。そうなると気が休まらず、疲労がたまりやすくなりますので、就業時間外は返事が必要となる連絡はしないことは基本になるでしょう。
リモートワークで働く時に気を付けるべき属性
昔ながらの家庭観を持った男性だと一旦仕事を始めると家事に関与しない可能性が高く、反対に女性は家庭事情を優先して仕事のスケジュールを立てる傾向があります。
女性の方が仕事とプライベートの境界が男性よりも曖味になりやすいと言えます。在宅での勤務をすることで、家庭の時間と仕事の時間が曖昧になり、その結果、メンタルヘルスへのリスクが高まる可能性がありますので、ご注意ください。
また、24時間働けますか?とばかりに働いてきた方や家事・育児など必要があまりない仕事人間のマネージャーの方もご注意ください。フルリモートで働く社員にも、いつでも、どこからでも連絡ができるため、仕事時間外での返事の強要などをすることで、部下が疲れてしまい、離職につながる場合もあり、最悪の場合はパワーハラスメントとの指摘を受けることもあるかもしれません。
テレワークをしている方や導入しているからといって、ストレスが低いとは限らないことを理解し、無理ないように気を付けてください。その対策として仕事とプライベートを切り替えられる制度設計や運用、また家庭でも協力を得られるように工夫してみてください。
一見、楽しそうに見えたり、ストレスが少なく自由で働きやすそうに見えるテレワークですが、周囲の協力や自分自身で時間をコントロールするスキルも必要そうです。
テレワークの経験を通して、「自分にはテレワークは合わない。出社型の企業で勤めたい」という方の声を聞くことも増えてきました。
地方、徳島でのリモートワークの推進はあまり進んでいませんが、出社時に集中して働くできる環境という意味では、ストレスが少ない職場も多いのではないでしょうか。
テレワークでの働き方のメリットとデメリットも理解しながら、どのような働き方が自分にとってベストなのかをご検討ください。