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2025年 徳島の最低賃金1,046円で、四国ではトップ、全国順位は27位に。最賃アップ時代に知っておきたい、キャリアの選択肢の広がり

2025.09.26

先日開かれた徳島地方最低賃金審議会により、2025年改定の徳島県内最低賃金が 1,046円 に決定しました。現行980円から 66円(6.73%)の引き上げ となり、1,000円台に突入します。国の目安額よりプラス3円での決定です。

適用は 2026年1月1日からとなります。例年より遅めの適用ですが、これは「企業の準備期間確保」と「年末の働き控え回避」が理由とされています。

徳島の最低賃金額は四国ではトップとなり、全国順位は27位で、2024年度と同じ水準をキープする形となりました。

2024年の「徳島ショック」のその後

2024年には徳島県では過去最大となる84円の最低賃金の引き上げを実施しました。大幅引き上げは全国に衝撃が走り、「徳島ショック」とも呼ばれました。

【参考コラム】[2024年・最低賃金]全国・過去最大の引き上げ額84円の徳島が、ワースト2位を脱却し、全国27位へ。
https://mutsubi-a.jp/for-hr-professionals/minimum-wage-2024/

ではその大幅引き上げは、徳島にどのような影響を与えたのでしょうか。
全労連のレポートによると、

①実質賃金は、24 年8月以降9カ月連続で前年同月比プラス。物価上昇を上回る形で推移、
②有効求人倍率は大きな変動なし、
③企業倒産件数は、例年並みで推移し、大幅引き上げによる倒産急増はみられなかった
とのことです。

さらに、上記に加え2025年7月の後藤田知事の定例記者会見では、実質賃金の前年同月比は全国でマイナスが続くなか、徳島はプラスで推移しており、「全国平均を大きく上回る現状」であると述べられました。

徳島県内の賃金は上昇し、また、急激な雇用情勢の悪化や倒産の増加などの大きな混乱は見られなかったことが分かります。2024年11月適用なので、長期的な影響の審議についてはまだこれからとなるでしょうが、少なくとも短期的な視点ではメリットが大きいように見えます。

徳島は淡路島と橋で陸路がつながっており、兵庫・大阪の都市部と好アクセスという地理的特徴があります。後藤田知事も懸念を示していますが、関西の隣県と賃金の格差が広がれば、それだけ人材の流出につながるリスクとなります。
そのため、最低賃金の地域格差を小さくすることは、働く人に安定した収入の機会を提供すると同時に、地元での就業チャンスを守るためにも大切なのです。

今回決定された最低賃金は6.73%の引上げとなりました。2024年の「徳島ショック」に次ぐ引上げ率となります。ただ一方で物価の上昇は続いており、特に食料の値上げ率は7.6%(2025年8月分消費者物価指数より)となっています。そういった状況を踏まえると、今回の引き上げも必ずしも大きなものとは言い切れない面があるかもしれません。
だからこそ、多くの方が安心して働ける徳島であるよう、今後も環境整備が求められていくのだと思います。

2026年1月~の徳島県の最低月給額

最低賃金が1,046円となった場合の、月収や年収の一覧をご紹介します。

2026年1月に改定される徳島県の最低賃金1,046円をもとに、1日の就労時間を8時間として計算。年間休日別に試算した月給・年収をまとめています。条件等によって異なる場合もあると思いますので、目安としてご活用いただければ幸いです。

2025年度 徳島県の最低月給・年収賃金額の早見表

間休日最低賃金1,046円目安での月給最低賃金1,046円目安での年収
100日の場合18万4,793円221万7,520円
105日の場合18万1,307円217万5,680円
110日の場合17万7,820円213万3,840円
115日の場合17万4,333円209万2,000円
120日の場合17万847円205万160円
125日の場合16万7,360円200万8,320円

最低賃金アップ時代に知っておきたい、キャリアの選択肢の広がり

最低賃金が上昇すると、企業側は人件費や労務管理コストを抑えるために、従来の「正社員として時間で働く形」だけでなく、成果物に応じて報酬が決まる業務委託という形で仕事を切り出す動きが広がる可能性があります。

こうした仕組みが増えると、働く時間や場所を自分で決められる自由度の高い働き方が選べる機会も増えていくでしょう。効率を重視する方は、スキルアップを通じて生産性を高め、結果的に「高時給」と同等の働き方を目指すことができます。

一方で、必ずしもスピードや時給換算だけにとらわれず、自分のペースで納得のいく成果物を仕上げるといったスタイルも選択できるようになります。つまり、これからは「会社の評価基準に縛られる」だけでなく、自分自身で仕事のスタイルを選べる時代になるのです。

従来は「出勤して決まった時間を働くこと」が評価につながりましたが、今後は「完成した仕事の質」で評価されるようになる――これが業務委託の大きなメリットのひとつです。

さらに最近では、WTC(Work time control)という考え方も注目されています。これは「働く時間や休み方を自分で決められる裁量」のことを指します。勤務時間を自分でコントロールできると、疲労感や睡眠不足が減り、仕事への前向きな気持ちにつながると報告されています。
業務委託という働き方は、このWTCの考え方に近く、自分のペースで健康的に働ける点でも魅力があるのです。

少子高齢化で労働人口が減少する中、賃金上昇の機運は高まり、雇用の状況は目まぐるしく変化していきます。そういった流れの中で雇用型以外の柔軟な働き方も広がると考えられます。
こうした時代だからこそ、柔軟な発想と広い視野を持つことが、働き方の選択肢を増やすカギになるでしょう。

【参考資料】
全労災「【レポート】徳島県での最低賃金大幅引き上げの後、景気や賃金、失業率はどうなったのか?」(2025/7/15)
https://www.zenroren.gr.jp/news/3735/?utm_source=chatgpt.com

徳島県知事定例記者会見(2025/7/18)
https://www.pref.tokushima.lg.jp/governor/press-record/7306357

労働安全衛生研究所「勤務時間の裁量権と健康および労働関連指標に関する追跡調査 」
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/srr/SRR-No43-3-3.pdf

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