「面接の場で、うまく自分をアピールしたい」
「交渉や商談を成功させ、良い仕事を得たい」
「社内で評価され、昇進や昇給をしたい」
ビジネスパーソンであれば、誰しもが願う共通の想いだと思います。
その想いを叶えるためには、人から信頼され、良い人間関係を構築する力が必要です。
どれだけ高い能力を持っていたとしても、信頼されなければチャンスとなる仕事を与えられず、評価をしてもらうことが難しくなります。逆に、信頼される人は、仕事でのチャンスをもらいやすく、周りからもサポートをもらいながら、成果につなげ、ビジネスでの成功を掴みやすくなります。
採用の基準においても、「職場の方と良い人間関係を築ける」能力は、スキルと同等か、スキル以上に求められる大切な要素になります。
そこで、今回のコラムでは、良い人間関係を構築するためのACRという心理学で使われる手法をご紹介したいと思います。
ビジネスの場においても、プライベートの場においても良い人間関係を築くことができる手法ですので、ご参考に頂ければと思います。
良い人間関係を作るタイミングとは?
良い人間関係を作る絶好のタイミングがあります。
それは、『相手の良いニュース』を聞いた時のリアクションのタイミングです。
しかし、相手の良いニュースを聞いた時の反応によっては、人間関係が希薄になり、信頼関係を失ってしまうこともあります。良いニュースを聞いた時を良い人間関係を構築する機会とするためには、どうすれば良いのかをお伝えしたいと思います。
良い人間関係を築くACR
良いニュースを聞いた時、心理学の用語でACRと呼ばれる反応を示すことが、良い人間関係を築くことにつながります。日本語でいうと、積極的建設的反応と表現します。
- Active:積極的(ニュースに対して、興味を持つ状態)
- Constructive:建設的(相手のニュースを喜んでいる状態)
- Responsiveness:反応
会話形式で説明をしますね。
「今日、大きな仕事を受注できたんだ」
「それは、良かったね!どうやってそんな大きな受注につながったの?」
とポジティブな反応を示し、より興味が持っていることが伝わるように詳しく話を聞いていきます。
「実は、受注するまでに、大きな問題もあったんだけど、とても良い案が浮かんでね。
上手くプレゼンテーションが出来たおかげで、お客様から信頼を得ることができたんだ」
「それは、すごいね!どんな案が思い浮かんだの?」
と詳細を聞いていきます。
具体的な質問を行うことで、成功体験を「再現」してもらい、一緒に「追体験」をする中で、共に喜ぶ姿勢を見せることで、良い人間関係が構築できます。
最も良くない反応とは?
良くない反応についてもご紹介します。
積極的かつ破壊的(出来事のネガティブな側面を指摘する)と表現される反応です。
「今日、大きな仕事を受注できたんだ」
「へ~、君が受注できるなんて、ラッキーだったんだね。
ところで、あのクライアントってクレーマーって噂されているから、大変になるね」
ニュースに関心は持っても、否定的なコメントをし、いわゆる水を差すような発言をすると良い関係にはなりません。
例えば、夫婦間の誕生日でも「おめでとう!」でなく、「お前も年を取って、おばさんになったなあ」なんていう言葉はそれにあたります。お祝いの際にとてもイヤなことを言われると、その人のことを嫌いになりかねません。
次に良くない反応
受動的で破壊的(出来事を無視する)と表現される反応です。
「今日、大きな仕事を受注できたんだ」
「へ~、そんなことより、僕は仕事で大変だったからとても疲れているから今度にしてくれないか」
良いニュースに関心もなく、否定的な反応をしいています。いわゆる無視をした状態になっています。
夫婦間や身近な関係だと、ついつい関心を持って話を聞くことができず、話をさえぎってしまうことがあると思います。しかし、そのようなリアクションが続くと、良いニュースを伝えられなくなり、良い関係を築くチャンスを失ってしまいます。
あともう少しの反応
受動的かつ建設的な反応(控えめにサポートする)と表現される反応です。
「今日、大きな仕事を受注できたんだ」
「良かったね。おめでとう」
とポジティブな反応をするだけにとどまり、積極的にお祝いが出来ていない状況です。
人間関係にマイナスにはなりませんが、とても良い関係を築くというまでには至りません。
まとめ
この人と一緒にいるととても居心地が良い、と思う人はACRの反応を良く示してくれる人かと思います。積極的に話を聞き出し、ほめてくれたり、一緒に喜んでくれる人です。
逆に、あまり一緒にいたくないなと思う人は、自分にとって嬉しいことを伝えても、ネガティブな反応をしたり、嫌味を言ってくる人です。
簡単なことのように感じますが、意外と難しいACR。「良い人間関係」はビジネスチャンスも生み出すことにもつながり、また「良い人間関係」は人生の幸福度を増すことにもつながります。
ぜひ、ACRの手法を少しずつ取り入れてみてください。
次回のコラムでは、面接の場で生かせるACRの手法をより具体的な行動や言動でお伝えしたいと思います。