Career Advice

キャリアアドバイス

徳島で広がる“男性育休”の輪 県が男性育休取得の企業へ奨励金を開始

2025.10.16

「育休を取得したいけど、今の会社だと難しそう」「残業が多く、子供が寝た後にしか帰れない」など、仕事と家庭との両立に悩んだことはありませんか?

今、育児に関わりたいと考える男性が増えています。
2024年に厚生労働省が実施した「若年層における育児休業等取得に対する意識調査(速報値)」によると、
84.3%の男性が「育休を取得したい」
63.3%が「企業の育休取得情報を重視」
57.3%が「育休実績がない企業には就職したくない」
と回答しています。

また、実際に男性育休を取得した人の割合を見てみると、民間企業における男性の育児休業取得率は 40.5% に到達しました。2023年度の30.1%から10.4ポイント増加しており、ここ数年で大きく伸びていることが分かります。

男性の育児休業取得率の推移 出典:厚生労働省「令和6年度年度雇用均等基本調査」

男性に育休が必要な理由は?

男女共働きが当たり前になりましたが、出産前は正社員だった女性の働き方は、産後はパートや臨時などに偏りがちです。特に出産・育児期をきっかけに正社員比率が大きく下がり、その後も戻りにくい「L字カーブ」と呼ばれる現象が続いています。

その背景には、男性の家事・育児参加がまだ十分ではないという現実があります。  厚生労働省の調査(2023年度第4回雇用政策研究会)によると、6歳未満の子どもがいる共働き世帯で一日当たりの家事関連時間を調査した結果、妻が450分、夫が40~120分程度とされ、妻の家事関連時間が長くなっていることがわかります。

6歳未満の子供を持つ夫婦世帯の1日当たりの家事関連時間
出典:厚生労働省「2023年度第4回雇用政策研究会 関係資料集」

家庭で担う“無償労働”の多くは女性が行い、男性との分担が進んでいない現状を示しています。この偏りがあるままでは、女性のキャリア継続が難しく、結果的に世帯年収の減少にもつながってしまいます。物価高の今、夫婦がともに働き、ともに稼ぐことが求められるようになる中、男性の家事育児の参加は急務でもあり、またその大きな第一歩が男性育休の取得になります。

育休を取得するメリット

男性は育休を取得することで給与が減ってしまうことへの不安があるかもしれませんが、子が生まれた男性(父親)も女性(母親)と同様に「育児休業給付金」を給付されますし、2025年4月から新設された「出生後休業支援給付金」は、父親も育児休業を14日以上取得した場合に支給され、「育児休業給付金」と「出生後休業支援給付金」を合わせると、上限はありますが、手取り額と同様の給付金を得ることができます。

また、勤め先への申し訳なさなども感じるかもしれませんが、企業も男性が育休を取得することで、給付金の取得もでき、採用時の男性育休取得者がいることのアピールにもつながり、企業にもメリットがあるのです。また周囲の社員への負担が気になるという場合は、お勤め先の企業に「業務フォロー手当」の導入を提案することもお勧めします。育休や時短を取得する社員に企業が手当を支給すると、その手当の3/4~4/5が国から支給されるという「育休中等業務代替支援コース」が2024年1月からスタートしています。

参照コラム:2025年4月から新設「出生後休業支援給付金」によって、父親の育休取得が育休中の手取り額を確保へ。
https://itsuka-tokushima.co.jp/career_advice/syusseigokyugyosien_kyufukin/

参照コラム:育休を推進する企業にメリットの大きな助成金制度が新設「業務フォロー手当」のご紹介
https://itsuka-tokushima.co.jp/career_advice/gyoumufollow_teate/

また、妻が育休を取得しているのであれば、妻も会社の申し訳なさを感じながら仕事の調整をしてきたことへの理解も深まり、また育児を一緒に向かい合えることで夫婦の絆も深まるのではないかと思います。育児は本当に大変で、そして本当に素晴らしいものです。男性も親になった醍醐味を、そして楽しさをぜひ感じていただきたいと思います。

男性の転職理由の多くが、「家庭の時間を増やしたい」に

弊社の転職支援サイト「いつか徳島」へご登録をいただく男性の多くからも
「もっと家庭の時間を増やしたい」
「子どもの園や学校の行事にも参加したい」
「妻ばかりに家事・育児を任せてしまって申し訳ない。自分ももう少し子育ての時間を作りたい」
という声を聞くようになりました。

また、妻が国家資格などを取得していたり、キャリアを積み重ね十分な給与を稼げるにも関わらず、自身(夫)が長時間労働のため、転職によって長時間労働を解消し、パートにならざるを得ない環境を変えたいという転職理由もお聞きすることもあります。夫(男性)が妻(女性)のキャリアを尊重するようになるなど、男性の女性に対してのキャリアへの意識の変化もあるようです。

いつか徳島」で、男性育休取得実績のある徳島の企業を検索

「育休を取りたいけど、実際に取れている人はどのくらいいるんだろう?」
「自分の会社ではまだ難しいけど、環境を変えたら叶うかもしれない」
そう思ったときに役立つのが、「いつか徳島」の検索機能です。
「いつか徳島」では、実際に徳島で男性育休の実績のある企業を簡単に検索することができます。

徳島でも男性育休実績のある企業は決して少なくありません。製造業、IT、医療、建設など幅広い業種で男性育休の実績が確認できます。制度を整え、実際に育休を取得した男性社員がいる会社を知ることで、自分らしい働き方のイメージがきっと見えてくるはずです。

▼男性育休実績ありの企業一覧
https://itsuka-tokushima.co.jp/job-list/archives/?job_new_ways_of_working%5Bmale_maternity_leave%5D=male-maternity-leave&s=

まだ男性育休の対象者がいないため、男性育休実績はないものの、積極的に推進したいという企業ももちろんあります。

「男性育休を取得できる会社に転職したい」「家庭の時間をもう少し増やしたい」とお考えの方は、ぜひ、「いつか徳島」へご登録ください。弊社のキャリアアドバイザーがあなたの希望をお聞きし、希望と合致する企業をご紹介させていただきます。

前述していたように家庭の時間を増やしたいとご相談をいただいた男性の多くは、希望の転職を叶えています。仕事だけでなく家庭も大切にしたいと思う方は、仕事を全力で尽くし、周囲の方を思いやれるため、企業からも高い評価をいただきやすいようです。

徳島県は男性育休への奨励金を

徳島県では、今年10月から、男性育休を取得した社員のいる企業に対し、最大50万円の奨励金を支給する制度が始まりました。この制度は、男性の育児参加を後押しし、企業の制度整備や取得実績の向上を目指すものです。 県全体で「男女ともに働きやすい徳島」をつくろうという動きが広がっています。

徳島県内大手の企業の動き

●日亜化学工業:男性育休取得推進、出産祝い金

日亜化学工業では 男性の育休取得を強く奨励しており、取得率は2022年の30%から、23年は53%、24年は73%と大幅に上昇しました。

また、出産祝い金も増額を続けており、第1子50万円、第2子70万円、第3子は100万円支給されるとのこと。今や徳島県で生まれる赤ん坊の1割弱は同社従業員の子と言われています。小川社長は、子育て支援や女性活躍を実現することは「地域社会の活性化や⼈⼝流出の抑制にもつながる重要で意味のある取り組み」と語っており、地域活性化への貢献を目指しています。

●阿波銀行: 「出産祝い金」、「不妊治療支援制度」および「旧姓使用選択制度」の新設

経営計画に「女性活躍推進」と「多様な人材が活躍できる環境づくり」を掲げ、その一環として出産祝い金と不妊治療利用支援制度、旧姓使用選択制度を新設しました。出産祝い金としては第1子30万円、第2子50万円、第3子は100万円が支給されます。

同行は今後も「性差や年齢等に関係なく、職員が長期的なキャリアデザインを描けられるよう、家庭と仕事の両立支援策を積極的に実施し、働きやすい職場づくりを整える」とメッセージを発信しています。

●徳島大正銀行:従業員の出産祝い金増額

徳島大正銀行では、出産祝い金を10月1日から引き上げ、一律で子供一人につき10万支給されることになりました。他にも扶養手当の支給対象年齢を引き上げるなど、働きやすい職場環境づくりを進めています。

いずれの企業も、「社員が子供を産み育てることを歓迎する」というメッセージを、祝い金や支援制度という形で発信しています。徳島でも、仕事と子育ての両立を前提にした職場づくりが広がりつつあります 。

まとめ

最近では、「子どもとの時間を大切にしたい」「家族のそばで働きたい」と考えて転職を検討する男性も増えています。「いつか徳島」では、そういった男性の転職活動のサポート実績も豊富です。
仕事と家庭との両立にお悩みの方はぜひご相談ください。

▼参考
・厚生労働省「2023年度第4回雇用政策研究会資料 」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_030127159_001_00054.html

・厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r06.html

・厚生労働省「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」(速報値)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/jigyou_ryouritsu/topics/tp100618-1_00004.html

・日亜化学工業「MIRAI~女性活躍プロジェクト~」
https://recruit.nichia.co.jp/mirai

・阿波銀行「「出産祝い金」、「不妊治療支援制度」および「旧姓使用選択制度」の新設について~女性活躍推進と多様な人材が活躍できる環境づくり~」
https://www.awabank.co.jp/kojin/news/2025/news20250226a

・日本経済新聞「日亜化学は子だくさん 育休・祝い金手厚く、社長も応援」(2025/2/28)

・徳島新聞「従業員の出産祝い金増額 徳島大正銀行」(2025/10/1)

このコラムを読んでいる⼈に
おすすめです

2025.03.31

2025年4月から新設「出生後休業支援給付金」によって、父親の育休取得が育休中の手取り額を確保へ。

2025.06.30

精神的健康が生産性向上につながる!精神的健康を保つためにできる工夫とは。

2024.03.26

男性の育休取得のメリットとは?従業員1000人超の企業の男性育休取得率46.2%から学ぶ。

転職に関するお役⽴ち情報や、新着求⼈、
また徳島県の地域情報が⽉に1回届きます。
徳島での転職に関する情報収集に
ぜひご利⽤ください。