「35歳を過ぎたら、転職は難しいのですか?」というご質問を頂くことがあります。
弊社の紹介実績の一番のボリュームゾーンは30代全般で次いで40代、20代、50代、非常にまれではありますが、60代の方でも企業から内定を頂くことがあります。
先日も高いITスキルを持つ素晴らしいお人柄の60代の方が好条件で企業から内定を頂きました。スキルを磨き、人間性を磨くことで、いくつになっても人から、企業から求められるのだと改めて感じる転職活動の支援となりました。
このように、35歳転職限界説(35歳を過ぎると転職が出来なくなる)は、今や昔の話となり、いくつになっても転職できる可能性が拡がってきています。
とは言え、年齢があがればあがるほど、転職が難しくなるケースもありますますし、誰もがいつでも転職できるのか、というとそうではありません。
では、30代半ば以上の方が転職に成功するためにはどのような視点が必要でしょうか。
年齢を重ねる中で行う転職活動の秘訣
企業によって基準もまちまちですが、未経験でも受け入れてもらえる年齢の上限は30代前半が一般的です。
そのため、未経験の業務に挑戦する場合は年齢があがればあがるほど転職することは難しくなってきます。
30代半ばの方が全く未経験の職種かつ人気職種に希望し、「やる気は負けません。企業に入社してから一生懸命勉強します」とおっしゃるケースもありますが、同じ勉強をしてもらうなら、若い人材が良いというのが、企業の本音になってしまいます。
新卒社員は中途社員と比較すると給与が安くなります。新卒社員の初任給は月給20万円程度、30代後半の方(男性)であれば月給30万円程度の月給提示が必要です。
また、日本は年齢による上下関係が根強く残っていますので、指導が必要な場合は、素直に話を聞いてくれる年下を採用したいと考えます。
そのため、ミドルといわれる年齢の方が、未経験の仕事に挑戦する場合は、年収へのこだわりを捨てること。運良く採用いただいた場合は、素直に業務を教えていただくという姿勢を持ちと入社後の知識・スキル習得のための多大な努力も必要となってきます。
そのため一番転職成功しやすく、かつ、入社後も活躍できる転職は、「自分自身の武器を理解し、自分の持つ武器で貢献が可能な企業を志望する」ことです。
具体的には、専門性、コミュニケーション、ネットワークなどの3項目で自分自身の武器を理解してみると良いと思います。
専門性
一般的な方が知らない専門的なスキルや実行力を指します。
例えば、技術職の方だと専門性の高いスキルをお持ちのケースが多いです。
コミュニケーション
交渉力があるのか、協調性があるのか、人を動かす力があるのか、自分がどのようなコミュニケーション能力があり、どのようなビジネスシーンで活かせるかを考えると良いでしょう。
業界知識や人脈などのネットワーク
経験者を採用する際は、あなたの知識や人脈にも期待しています。例えば、IT業界の方が他業種の社内SEとして入社した際、あなたの培ってきたネットワークも期待されています。
まずは、自分自身の武器は何なのか?を考えることに挑戦頂ければと思います。
転職活動時に感じる不安
転職活動は前向きに行いたいものの、どんな方でも不安はつきものだと思います。
転職を成功させ入社後の活躍を企業様から褒めてもらうような方でも、転職活動中は不安を口にします。
例えば、
「筆記試験は、どのような問題が出るのですか。きちんと解けるか心配です」
「人間関係は良いのですか?自分が受け入れてもらえるのか不安です」
「期待された仕事をきちんと出来るのか不安です」
不安というと、ネガティブなイメージを持つかもしれませんが、不安の原因や対処方法を知ることで、不安へ立ち向かい、前向きな行動に移すきっかけとなりますので、決して悪いものではありません。
転職活動において、一番多い不安は応募先企業についてよく知らないという「職業理解不安」です。入社しないと分からないことは多いですが、不安が大きい人は、応募をためらってしまい、選考のチャンスを逃すことがあります。
不安を解消するために
「職業理解不安」の不安を解消するために、私がお勧めしていることが、実際に面接に進んで確かめることです。
面接で疑問点について質問することも大切ですし、言葉以外の情報を得ることも重要です。
例えば、
・働いている社員の表情や年代・性別
・訪問した時に社員の方がどのように迎えてくれるかといった社員の態度
・社屋がきれいで掃除ができているか
・社員のデスクの上は整理整頓されているか
・面接室の飾りや調度品
・社員駐車場に停まっている車の車種など
会社を訪問する情報はたくさん落ちています。
なお、面接に進んだからといって必ず入社しなければならないわけではありません。
内定を必ずもらえるわけではありませんし、内定をもらった場合も違うと思えば辞退できます。
求人票やHPなどで情報収集をするのは当然ですが、行き詰まったら選考を通じて調べるという手段があり、選考に進むことこそが不安解消にも繋がります。
心理学の「透明性の錯覚を」知り、自分をリラックスさせる
「選考に進みたい!」「入社したい!」という想いが強ければ強い程、不安が強くなることもあります。
どのような選考が行われるのかという試験への不安、うまく自己アピールできるかという不安も多くの方が持つ不安です。
そこで、一つ役に立ちそうな心理学的テクニックをご紹介します。
「透明性の錯覚」と言われる現象があります。
自分の自信のなさや欠点を、面接官に見透かされてしまうのではないか?と不安を感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、多くの場合それは自分の思い込みで、実際は露見していないことがほとんどです。赤面症だと思っている人でも、実際に赤面しているのはその中の一部に過ぎないという実験データもあります。
不安や緊張も同じで、自分で心配するほど周囲に伝わっていません。その心配は「透明性の錯覚」という心理現象と呼ばれます。
人間は自分の考えや感情を相手が理解していると思い込みすぎる傾向があるとする理論です。
人は全ての物事を、自分を中心に考えがちのため、自分が思っていることを相手が解っていると必要以上に思い込んでしまうのです。
面白いのは、「透明性の錯覚」という現象の説明を受け、理解した人は、不安や緊張が少なくなるという実験結果があることです。
内心で不安を感じていたり緊張していても、それが周囲に見抜かれていないと信じて下さい。少しリラックスして自分の力を発揮できると思います。ぜひ試してみてください。
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